- 二世帯住宅の玄関は、別にしたほうがいい?共有のままでもいい?
- 帰ってきたときに毎回顔を合わせるのは疲れないかな。来客や荷物は、誰が受け取る?
- 玄関を2つにすると工事費や税金はどう変わる?
調べてみると、「税金が二戸分の扱いになる」という説明も出てきます。
暮らしやすさで決めるのか。
税金まで考えて決めるのか。
情報が混ざるほど、何を基準にすればいいのか分からなくなりますよね。

こんにちは。
二世帯と向き合って20年以上。
“やめた側”も”戻った側”も
経験済みの\はなまめ/です。
この記事は、2つの玄関を住み比べた結論ではありません。
私は、共有の玄関で暮らし、改修時に玄関を分けることも検討した経験はあります。
その経験と公的な資料をもとに、この記事では、
暮らしで守りたいことと、税の制度として確かめることを分けて整理します。
玄関の数を決める前に、暮らしで守りたいことと、税の制度で確かめることを分けて考えることが大切。
これから建てる方、改修を考えている方、すでに共有の玄関で暮らしている方に向けて書きました。
読み終わるころには、玄関を共有するか別にするかを考えるための、暮らしの希望と税の確認事項が分かれて見えてくるはずです。
玄関が2つなら、税も二戸分になる?


玄関を2つにすると、固定資産税はどう変わるんだろう。
調べるほど、記事によって言っていることが違う。まず、そこですよね。
先に答えます。
玄関が2つでも、1つでも、入口の数だけで税の扱いは決まりません。
この記事で扱うのは、固定資産税と都市計画税のうち、土地に適用される「住宅用地の特例」です。
固定資産税の住宅用地特例は「住居の数」
住宅の敷地になっている土地は、税額のもとになる金額(課税標準)が引き下げられます。
地方税法では、住宅用地のうち200平方メートル以下の部分を「小規模住宅用地」として、固定資産税は価格の6分の1、都市計画税は3分の1とされています。
200平方メートルを超える部分は「一般住宅用地」として、固定資産税は3分の1、都市計画税は3分の2です。
ここが大事なところなのですが、この200平方メートルは、土地の広さをそのまま見るのではなく、住居の数で割って考えます。
土地の面積を住居の数で割った面積が200平方メートル以下なら、その土地は全部が小規模住宅用地になります。
超える場合は、200平方メートルに住居の数をかけた面積までが小規模住宅用地です。
つまり、住居が2つと認められれば、いちばん軽くなる範囲が広がることはあります。
「玄関を2つにすると税金が安くなる」という説明は、ここを指しています。
玄関の数だけで、住居の数は決まらない


では、その「住居の数」はどう数えるのでしょうか。
地方税法施行規則には、住居の数は「人の居住の用に供するために独立的に区画された部分」の数による、と書かれています。
ポイントは、「玄関」ではなく、人が住むために独立的に区画された部分を数えることです。
そして「独立的に区画されているか」は、玄関だけを見て決まるものではありません。
人が住むために、独立して区画されているかどうか。玄関は、そのなかで見られるところの一つです。
だから、玄関が2つでも、それだけで住居が2つと扱われるわけではありません。
そして逆に、玄関が1つでも、入口の数だけで税の扱いを決めることはできません。
最終的な扱いは、市町村がその家の状態を確認して判断します。
そのため、わが家の場合を推測するより、固定資産税の担当窓口に確認するのが確実です。
推測せずに聞く、と決めてしまったほうが早いと思います。
同じ「税金」でも、この記事で扱う範囲は分けます
「二世帯住宅 税金」で出てくる話には、いくつも種類があります。
この記事で扱うのは、土地の固定資産税・都市計画税だけです。
扱わないのは、新築のときに家屋にかかる税の減額、家を取得したときの不動産取得税、それに区分登記やローンの話です。
外したのは、重要ではないからではありません。
建てた時期、取得した時期、権利関係と、確かめるべきことがそれぞれ違うからです。
同じ「税金」の箱に入れて読むと、玄関が2つならまとめて有利になるように見えてしまいます。
そこが、いちばん誤解が起きやすいところだと思います。
ただ、ひとつだけ共通していることがあります。そちらでも、玄関の数だけで扱いが決まるわけではありません。
確かめる中身が違うだけで、入口を数えれば答えが出る、という話ではないんです。
玄関を共有するか別にするかは、出入りの線をどこに置くか


共有で十分という人もいる。でも、帰ってきた瞬間くらいは、自分たちだけに戻りたい。
そう思う日、ありませんか?
税の話とは別に、こちらの問いがあります。
玄関を別にするかどうかは、間取りの優劣ではなく、出入りの線をどこに置くか
という問いです。
外から戻った瞬間に、どこまで自分たちの時間に戻りたいか


玄関を別にすると、外から戻った直後の線を、物理的に引くことができます。ドアを開けた先が自分たちの側であれば、そこからは自分たちの時間です。
共有の場合、その切り替えは玄関より少し奥で起きます。
どちらが良いという話ではなく、切り替わる場所が違うということです。
考えたいのは、自分がどこで切り替わりたいかのほうだと思います。
帰った瞬間から1人になりたい日もあれば、誰かの気配があるほうが安心な日もある。毎日どちらでいたいかを、先に言葉にしておくと迷いません。
来客や荷物を、誰の窓口として受け止めたいか


玄関は、家の中の話であると同時に、外との窓口でもあります。
宅配便が届くたびに、親世帯に受け取ってもらうことを助かると感じる人もいれば、「また何か届いたと思われないかな」と気になる人もいます。
玄関が別なら、その窓口は分かれます。共有なら、先に出たほうが受けることになります。
受け取ってもらえることを助かると感じるのか。それとも、自分たちの荷物は自分たちで受け取りたいのか。
ここは、住んでみるまで想像しにくいところです。
自分たちの用事を、自分たちで受け止めたいか。
それとも、受け止めてもらうことも含めて一緒に暮らすと考えるか。
ここも、正解を決める話ではありません。
共有のままでも、先に言葉にできる境界がある
そして、共有を選ぶことが失敗だという話でもありません。
共有のままでも、出入りのこと、来客のこと、荷物のことについて、先に「こうしたい」と言っておく余地はあります。決めきらなくてもよくて、話題にしておくだけで、あとから言い出しやすくなります。
玄関以外にも、設計で減らせることと、話し合いが必要なことがあります。
設計で減らせること・話し合いが必要なこと
👉️二世帯住宅はデメリットだらけ?設計で減らせること・話し合いが必要なこと
私が経験した「共有してきた側」のこと


ここから先は、私の話です。
完全同居だったころの共有の玄関については書けます。
ただ、玄関を別にして暮らしたことはないので、その側の実感は書けません。片側だけの話として読んでください。
共有しているから、気になることはある
正直に書いておきますね。
わが家では、共有玄関が暮らせないほどの困りごとになっているわけではありません。ただ、毎日通る共有の場所なので、自分たちだけの玄関とは違う意識が残ります。
だから「共有でよかった」と言い切ることも、「別にすべきだった」と言い切ることもできません。
玄関を別にすることが難しいときがある


改修のときに、玄関を別にする案も考えました。検討はしたんです。ただ、もとの間取りや外部からの動線を考えると、玄関を増やすのは難しい状態でした。
優先順位をつけて選ばなかった、というより、そもそも難しかった。
新しく建てる前提の記事を読んでいると、玄関を分ける案がいくつも並んでいます。でも、すでにある家では、分けたくても分けられないことがある。そこは、あまり書かれていない気がします。
だから「共有でよかった」と言いたいわけではありません。ただ、気になったときに話せる前提があるから、いまも続いている。そう思っています。
戻る前に何を変えたのかはこちらをどうぞ
👉️同居解消後、それでも再同居を選んだ理由。戻る前に変えた境界線
決める前に、暮らしと税でメモを分ける
何を聞けばいいのか分からないまま、図面や説明を見ている。
そういう時期って、ありますよね。
最後に、相談に行く前に自分で整理できることを置いておきます。
合否を決めるチェックリストではなく、2枚のメモです。


暮らしのメモに書く3つのこと
| 問い | 確かめること |
|---|---|
| 外から戻った時、どこで自分たちの時間に切り替わりたいか | 玄関に必要な線の意味 |
| 来客や荷物を、どこまで自分たちで受け止めたいか | 出入りの窓口をどう考えるか |
| 共有のまま残しても、話し直せることは何か | いま全部を決め切る必要があるか |
これは、家族と話すためのメモです。答えが割れていても構いません。割れていることが分かるだけで十分だと思います。
税のメモに書く3つのこと
住居の数は、独立的に区画された部分の数で数えます。
実際にどう区画されているかは、家の状態をもとに判断されます。だから、相談する前に、いまの家の状態を確認しておくと、窓口で状況を伝えやすくなります。
| 問い | 確かめること |
|---|---|
| 課税明細書の土地・家屋の欄に何が載っているか | 制度の相談を始める前の確認点 |
| 構造上の区画、専用の出入口、炊事場、便所はどうなっているか | 住宅用地特例の住居の数を相談する材料 |
| 市町村に何を聞くか | 住居の数の扱いと、必要な届出・資料 |
こちらは、事実だけを書くメモです。希望や気持ちは入れません。
窓口で聞くことは、
- 「いまの状態で、住宅用地特例の住居の数はどう扱われますか」
- 「必要な届出や確認資料はありますか」
の二つに絞ると、話が早いと思います。
暮らしの希望と制度の確認を、行き来しながら決める
- 家族と話すときは、暮らしのメモを使う
- 設計や制度を確認するときは、事実を整理した税のメモを使う
まずは家族で、暮らしのメモを使って希望を整理します。そこで出た希望をもとに、設計上できることや税の扱いを、それぞれの相談先に確認します。
そして、分かったことを家族に持ち帰り、もう一度話します。
一度の話し合いですべてを決めるのではなく、希望を整理する→事実を確かめる→もう一度話す。
この順番を行き来しながら決めていくほうが、暮らしと制度のどちらか一方だけに引っ張られにくくなります。
なお、玄関を分ける工事の費用については、この記事では扱いません。費用の考え方は別の記事にまとめました。
改修費用と、分けたこと・分けなかったこと
👉️実家を二世帯住宅にリフォームした費用。私たちが分けたこと・分けなかったこと
まとめ|暮らしと税の制度を分けて話し合うことが大切


長くなったので、まとめておきますね。
- 玄関が2つでも、一つでも、入口の数だけで税の扱いは決まりません
- 住宅用地特例で確認されるのは、住居の数と、構造上の区画や生活のための設備です
- 玄関を別にするかは、外から戻る時や来客の時に、どこへ線を置きたいかという暮らしの問いでもあります
- 共有のままでも、先に言葉にできる境界はあります
- 税の相談には事実を、家族と話すには希望を、それぞれ別のメモに分けておきます
別にするか共有するかを急いで決める前に、2枚のメモを書いてみてください。
相談する相手が変わっても、何を確認したいかがぶれにくくなります。
2枚のメモがあれば、何を家族で話し、何を相談先に確認すればよいかが見えやすくなります。
(あなたの状況に近いところからどうぞ)
- 設計で減らせること・話し合いが必要なこと
👉️二世帯住宅はデメリットだらけ?設計で減らせること・話し合いが必要なこと - 分けて解決すること・しないこと
👉️二世帯住宅の完全分離でも後悔はある?分けて解決すること・しないこと - 戻る前に変えた境界線
👉️同居解消後、それでも再同居を選んだ理由。戻る前に変えた境界線 - 改修費用と、分けたこと・分けなかったこと
👉️実家を二世帯住宅にリフォームした費用。私たちが分けたこと・分けなかったこと - 同居から別居、再同居までの経過
👉️二世帯住宅で後悔→同居解消→再同居。20年以上向き合った記録 - プロフィール「はなまめのこと」
📖参考にした情報源
・住宅用地特例の割合について:国土交通省「土地の保有に係る税制」
・住居の数を用いる規定について:e-Gov「地方税法」第349条の3の2(都市計画税は第702条の3)
・住居の数の認定について:e-Gov「地方税法施行規則」第12条の2
この記事は個人の体験と見解であり、特定の選択やサービスを推奨・批判するものではありません。制度や費用は執筆時点の情報です。ご自身の状況に合わせてご判断ください。



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